総州書房雑録

読んだ本の感想、考えたことを書いて行きます。

ある寓話にことよせて

 

昔々あるところに

男がいた。

 

ある日、男が鏡をのぞくと、そこにうつる自分の姿がひどく汚れて見えた。

 

男は一生懸命にその鏡を磨いた。

 

しかし、いっこうに鏡にうつる自分の姿は美しくはならない。

汚いままだ。

 

腹をたてた男が鏡を割るために、外に出ようとすると。

男の息子が通りかかって言った。

 

『お父さん、変なの!顔がススで真っ黒だよー!』

 

男はふと我に帰った。

 

(汚れていたのは、俺自身だったのだ…)

 

男は身繕いを整えてもう一度、鏡の前に立つと、そこには美しい自分の姿があった。

 

…………

この寓話の教訓

この話しは先日会った、ある社長さんから伺った話しを

自分なりに着色して寓話風に仕上げました。

この話しにおける、鏡とは

毎日出会う『他者』です。

 

こんな事をいつも言っている人はいないでしょうか?

 

あいつは、怒りっぽくて嫌だ。

あいつは、暗くて話しづらい。

あいつは、真面目すぎてつまらない。

あいつは、人から貰うばかりでちっとも与えないやつだ。

あいつは、俺のことをちっとも理解してくれない。

 

…もしかしたら、

自分が怖い顔をしてるのかもしれない、自分が陰気な態度なのかも、

堅苦しいのは自分だったり、

人に貢献していないのは自分だったり、

人に理解してもらえるようなコミニケーションが自分ができていなかったりして…?

 

相手は自分の『鏡』であることは多い。

 

そして、鏡を磨くという行為は、相手をコントロールして『変えさせる』という事です。

 

全く自分のことを話さない人から、『もっと色々話してくれよー』と言われても…という経験はないでしょうか。

 

相手のせいにするのではなくて、

一度自分に『まだ何かできることはないか?』と立ち止まれる人が、他者と何かを作り出せる人なのかも、しれません。

 

そして、自分にとって誠実にアドバイスをくれる人達を、大切にすること。

 

相手を変えるのでなく

自分の在り方を見直すこと。

 

大事なことだと感じたので、自戒の意味を込めてここに残します。