総州書房雑録

読んだ本の感想、考えたことを書いて行きます。

日本史

峠(下)備忘編

スピードは金。 兵馬の精強無くして一般の正義無く、独立なく、自尊なし 人はその長ずるところによって身を過つもの。 長ずるところを用いられないと、鬱積する。 そうなると何とかしてその長ずるところを用いようとして現実を歪んだ解釈をしてしまう。 長じ…

峠(下)概要編

深川の藩邸から西洋商人スネルの船で江戸から脱出する継之助。 船内で後の日露戦争の英雄となる桑名藩士・立見尚文と談笑する継之助。 話しは「立場論」を中心に進んだ。 船は仙台で会津藩士を降ろし、函館で米を売り払い越後に帰り着く。 継之助が洋上にあ…

峠 中巻 【備忘編】

賢臣を登用し登用した以上は信用しきるのが名君の道 異例になると羨望から足を引かれる細心の配慮をせよ 改革はゆっくりとやるのが上策だが危急の時にあってはあっという間が良い みずから出向き みずから調査する 私情も私心も、命も捨てているものが強い …

峠 中巻 【概要編】

峠(中)司馬遼太郎 故郷に帰った継之助は役人として新しく領地になった村の内紛を見事に収拾して出世を遂げる。郡奉行と町奉行という藩行政の全ての頂点に座った彼は藩の改革に着手する。 ・賄賂の禁止・汚職役人の免職・寄せ場と呼ばれる「更生施設」・賭…

峠(上巻)読書備忘

峠(上)(司馬遼太郎) 河井継之助は越後長岡藩の100石格の家に生まれた。幼き頃よりいつか藩の宰相になるを誓い、その行動力を磨くために幕府の公認学派の朱子学ではなく、知行合一の陽明学を学び続けてきた。 彼は命の危険を冒しながら旅をした。それは雪…

トマト

足元に、トマトが転がっている。 私は日課の散歩道を歩いていた。長い坂道の途中の…閑静な住宅街であるから、どこぞの家庭菜園から転がってきてしまったものらしい。 私はその誰の口にも供されない運命の熟れた野菜を横目に坂を上り続けた。 ついでに、こん…

漂泊の王

安西、という人が新卒のころの同期入社組にいた。初対面での不躾を承知で「もしかして千葉の南の方の出身?」と聞いてみたのをよく覚えている。 「え?そうだけど…?」本人は驚いてはいたがなんのことはない。里見氏に滅ぼされた安房の豪族に同じ名前があっ…

教養と立場

司馬遼太郎の幕末に関する小説2冊を続けざまに読んだ。 ① 最後の将軍 ②酔って候 の2冊である。 1冊目は江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜を主人公にした作品であり、2冊目は幕末に存在した四人の藩主に関する物語である。 『最後の将軍』の主人公、徳川慶喜は世…